Fuzoku実践入門ブログ

Amazon で好評発売中の『Fuzoku実践入門』に関するエピソードなどを紹介するブログです。

Kindleオーナーライブラリーによるダウンロード数と売上データからみる考察

KDPによる出版では、日本で印税70%を選択するためのKDPセレクトを適用すると、Amazonプライム会員に対して、月に1冊無料でダウンロードできるKindleオーナーライブラリー(以下、KOL)に自動的に追加されます。

利用者からすれば、タダでダウロードできるだけの嬉しい制度ですが、出版側にとって、このKOLでダウンロードされた本はどのような扱いになるか気になるところです。

KOLによる支払いについて

誤解が多そうですが、KOLによるダウンロードは、出版者に対して支払いが行なわれないわけではありません。

KOLによって本がダウンロードされると、通常の購入と同様に月末時点で販売数が集計され、出版者に対して支払いが行なわれます。この支払いは、ロイヤリティではなく、KDPセレクト基金からの分配金(いわば配当)という仕組みによって計算されています。

2015年1月のKDPセレクト基金

この仕組みについては、 KDP セレクト グローバル基金の分配金はどのように算出されますか?に詳しい説明があるのですが、実際にどの程度の支払いが行なわれるものなのでしょうか?

Fuzoku実践入門のKOLダウンロード数と配当

拙著Fuzoku実践入門は11月に発売されましたが、2015年1月16日の時点で、2014年11月と12月の支払い集計レポートを見ることが可能となっています。

そのデータによると、KOLダウンロード数とその分配金は次のようになっていました。

期間 KOLダウンロード数 分配金 1冊当たりの分配金
11月 325冊 79,926円 245円
12月 119冊 30,263円 254円

Fuzoku実践入門は790円で販売しているため、623円(正しくは配信コスト2円が差し引かれます)のロイヤリティと比較すると、1冊当たり約30%のロイヤリティを得ていることと同じと言えます。

考察

上記の数字を踏まえて、私なりに出版者から見たKOLについて考察してみます。

250円の本は、実売よりも約75円も高い配当が得られる

まず、支払いについて、Fuzoku実践入門の場合に関して言えば、元のロイヤリティと比較して約60%の差損が生じる形となりますが、もし、KDPセレクトの最低価格250円(ロイヤリティ175円)で販売されている場合であれば、KOLによるダウンロードは、実売よりも高い分配金が得られることになります。

つまり、安く本と販売している人にしてみれば、KOLの方が収益的にメリットが高いということになります。

もちろん、Amazonプライム会員の心理として、どうせ無料でダウンロードできるのであれば、高い本を選ぶという考えが働きそうなため、285円の本が実売よりも多くダウンロードされるかどうかは未知数です。

KOLは本がより長く売れる仕組みになっている?

今月の販売数はまだ集計前ですが、実売とKOLの関係は、KOLが大きく上まわる結果となっています。

ちなみに、11月は実売とKOLの比は6:4で、12月は1:1まできていましたが、1月16日現在は1:3と逆転してきています。

この数字の理由は定かではありませんが、事実としてKOLはピークを過ぎても購入する切っ掛けを与えてくれる仕組みとして機能しているのかもしれません。

まとめ

当初、出版前はKOLという仕組み自体を正しく理解しておらず、作家にとってどういうメリットがあるのか分かっていませんでしたが、2ヶ月が経過して、その仕組みとメリットを把握することができてきました。

今後はこの結果を踏まえた価格設定を行なっていくと同時に、違うデータが得られた際は、積極的に公開していきたいと考えております。

今後、KDPによる出版を考えられている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。